複数EAのポートフォリオ検証|相関・同時ドローダウン・リスク集中を確認する方法
複数のEA(Expert Advisor)を同じ口座で運用する場合、EAの本数が増えただけでRiskが分散されたとは限りません。
EA A、EA B、EA Cがそれぞれ単体バックテストでは異なる成績でも、同じ相場環境、同じ通貨Exposure、同じ時間帯、同じVolatility上昇で同時に損失へ入る場合があります。
このような状態では、「3つのEAを使っている」という見た目と、「3つの異なるRisk Sourceへ分散されている」という実態は一致しません。
複数EAをPortfolioとして検証する時は、EA単体のProfit FactorやMaximum Drawdownだけでなく、EA同士の相関、損失が発生する時期、Combined Equity Curve、同時Drawdown、Symbol・Strategy・Trading SessionなどのRisk Concentrationを確認する必要があります。
この記事では、複数EAを「個別EAの集合」ではなく「1つのPortfolio」として確認するための基本的な分析方法を整理します。特定のEA構成、Lot配分、運用比率、銘柄を推奨するものではありません。
- EAの本数とRisk分散を同じ意味にしない
- EA間のCorrelationを確認する
- 同じDate・Time軸へP&Lを揃える
- Combined Equity Curveを作る
- 個別DDではなくSimultaneous Drawdownを見る
- Symbol・Strategy・SessionのRisk Concentrationを見る
- Nanpin / GridではFloating Equityも確認する
- Full-periodだけでなくRolling Correlationも確認する
- 複数EAを使うこととRisk分散は同じではない
- 既存の複数EA運用確認との違い
- Portfolioとして確認する5つの項目
- EAの相関とは
- Pearson Correlationの読み方
- 相関係数に共通の合格ラインはない
- 何のDataで相関を測るか
- 同じDateへDaily P&Lを揃える
- Correlation MatrixでEA同士を比較する
- 同じSymbolでも高相関とは限らない
- 違うSymbolでも共通Exposureがある
- Strategy Typeの重複を見る
- Trading Session・時間帯の重複を見る
- Full-period Correlationだけで判断しない
- Rolling Correlationとは
- Combined Equity Curveを作る
- 個別Maximum DrawdownとPortfolio Drawdownは別物
- Simultaneous Drawdownを見る
- Drawdown Overlapを見る
- Positionを同時に持つ時間も確認する
- Actual LotでPortfolio Riskを再確認する
- ナンピン・GridではFloating Equityを見る
- ScalpingではShared Execution Riskを見る
- GOLD / XAUUSD EAを複数使う場合
- BacktestとForward・LiveでPortfolio関係が変わっていないか
- BacktestとLiveのExecution差も分けて考える
- MT5 Strategy TesterのMulti-Currency Testとの違い
- 複数EA Portfolio確認チェック表
- よくある質問
- 関連ページ
- 参考にした技術資料・公式情報
- まとめ
- お問い合わせはEAFC公式LINEへ
複数EAを使うこととRisk分散は同じではない
複数EA運用で最初に区別したいのが、「EA数」と「Risk Source数」です。
例えば5つのEAを稼働していても、すべてがXAUUSDの短期Trendへ同じ方向に反応するなら、EA名やParameterが違ってもMarket Exposureが強く重なる可能性があります。
| 見た目 | 実際に確認すること |
|---|---|
| EAが5本ある | 5つの異なるRisk Sourceなのか |
| Symbolが違う | 共通CurrencyやMarket Factorへ依存していないか |
| Strategy名が違う | Entry・Exit Timingが実際に異なるか |
| Timeframeが違う | Position保有時間が重なっていないか |
| 単体Backtestが良い | 複数EAを合成したEquityがどう動くか |
Portfolio検証では、「何本あるか」ではなく「いつ、何に、どの方向へRiskが重なるか」を見ます。
既存の複数EA運用確認との違い
MT5で複数EAを同じ口座へ設置する場合は、Magic Number、対象Symbol、Lot、Maximum Positions、決済対象などの技術的な管理が必要です。
この設定面については、MT5で複数EAを同じ口座で使う前に確認することで詳しく整理しています。
| 確認領域 | 主な内容 |
|---|---|
| 複数EA運用設定 | Magic Number、Chart、Lot、決済対象、ログ |
| Portfolio検証 | Correlation、Combined Equity、Drawdown Overlap |
| Risk Concentration | Symbol、Strategy、Currency、Session、Volatility |
| 時系列分析 | Daily P&L、Rolling Correlation、Simultaneous DD |
Portfolioとして確認する5つの項目
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| Correlation | EA同士の損益変化がどの程度連動しているか |
| Combined Equity | 複数EAのP&Lを合算した時の資産推移 |
| Simultaneous Drawdown | 複数EAが同時期にDrawdownへ入るか |
| Exposure Concentration | 同じSymbol・Currency・StrategyへRiskが集中していないか |
| Time / Position Overlap | Entry時刻やPosition保有時間が重複していないか |
これらを個別に確認したうえで、最終的に口座全体のEquity Curveへ統合して考えます。
EAの相関とは
複数EAのPortfolio分析では、EAごとのReturnやP&L系列がどの程度一緒に変化しているかを見るためにCorrelationを使うことがあります。
代表的なのがPearson Correlationです。2つの数値系列にある線形関係を、-1から+1の範囲で表します。
| 値の方向 | 基本的な意味 |
|---|---|
| +1に近い | 2系列が同じ方向へ変化する傾向が強い |
| 0付近 | 線形な連動が弱い |
| -1に近い | 2系列が反対方向へ変化する傾向が強い |
ただしCorrelationは「安全性」そのものではありません。値が低いから安全、負だから必ずRiskが相殺される、といった判断には使いません。
Pearson Correlationの読み方
Pearson Correlationは概念的には、2つの系列XとYのCovarianceを、それぞれのStandard Deviationで正規化したものです。
式を簡略化すると、次のように表せます。
r = Cov(X,Y) / (σX × σY)
EA分析では、XとYへ同じ時間間隔で揃えたDaily ReturnやDaily P&Lを使う方法があります。
Correlationは線形関係を見る指標なので、急変時だけ同時に損失が出るケースや、非線形なRisk関係を完全に表すものではありません。そのため、Drawdown OverlapやCombined Equityも別に確認します。
相関係数に共通の合格ラインはない
Web上のPortfolio分析では「0.3以下」「0.5以下」など独自の区切りを使う例がありますが、EAFCでは全EA共通のCorrelation合格値を設定しません。
同じ相関値でも、Trade Frequency、Holding Time、Symbol、Sample期間、Market Regime、実際のExposureが異なれば、Portfolio Riskとしての意味は変わります。
なお、Pearson Correlationは、各系列へ一定の正の倍率を掛けるだけでは基本的に変化しません。例えばEA Aの損益系列を一律2倍にしても、系列の形が同じであればCorrelationそのものは変わりません。一方、実際の損益額やPortfolio全体へのRisk寄与は大きくなるため、「相関係数」と「Actual Exposure」は分けて確認します。
| 一緒に見る項目 | 理由 |
|---|---|
| Trade Count | Sampleが少なすぎないか確認する |
| 期間 | 特定Market Regimeだけでないか確認する |
| Holding Time | Positionの時間的重複を確認する |
| Drawdown | 損失局面の重なりを見る |
| Actual Exposure | 実際のLot・Position量を確認する |
何のDataで相関を測るか
Correlationを計算する前に、何を1つのData Pointとして使うのかを統一します。
ここでは、「Strategy同士の動きが似ているか」と「実際の口座でどれだけRiskが集中するか」を分けて考えることが重要です。
| Data | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| Daily P&L | 日単位の損益発生Timingや実際の金額影響を見る | 固定された正の倍率で損益額だけを拡大してもPearson Correlation自体は基本的に変わらないが、Portfolioへの金額Risk寄与は変わる |
| Daily Return | 資金Scaleを揃えてStrategy特性を比較する | Returnの分母、計算時刻、入出金の扱いを統一する |
| Weekly P&L | 低頻度EAなどを粗い時間軸で比較する | 日中や日単位の同時損失を平均化して見落とす場合がある |
| Equity Change | Floating P&Lを含む資産変化を比較する | 同一時刻、同一口座通貨など比較条件を揃える必要がある |
例えば固定Lotを一律に2倍へ変更しただけなら、損益系列の金額は2倍になりますが、系列の形が同じである限りPearson Correlationそのものは基本的に変化しません。
一方、残高連動Lot、複利、Martingale / Nanpinによる時変Volume、異なる取引コストなどによってScaleが時間とともに変わる場合は、損益系列の形自体も変化する可能性があります。そのためStrategy特性を比較するCorrelationと、Actual Lot・Actual P&L・証拠金などの実口座Riskを同じものとして扱わないようにします。Riskがどれだけ大きいか」を分けて確認すると整理しやすくなります。
同じDateへDaily P&Lを揃える
EA AとEA Bを比較する場合は、それぞれ異なる順番のTradeをそのまま並べるのではなく、共通の時間軸へ揃えます。
| Date | EA-A | EA-B | EA-C |
|---|---|---|---|
| Day 1 | Daily P&L | Daily P&L | Daily P&L |
| Day 2 | Daily P&L | Daily P&L | Daily P&L |
| Day 3 | Daily P&L | Daily P&L | Daily P&L |
取引しなかった日をどう扱うか、Timezoneを何に揃えるか、日付変更時刻をBroker Server基準にするかなども、比較条件として記録します。
MQL5で公開されているMulti-EA Portfolio分析例でも、EAごとのDaily P&LをCSVから読み込み、EA間のPearson Correlation Matrixを作成する方法が使われています。
Correlation MatrixでEA同士を比較する
EAが3本以上になると、1つのCorrelation値ではなく、すべてのPairをMatrixで確認すると関係を把握しやすくなります。
| EA-A | EA-B | EA-C | |
|---|---|---|---|
| EA-A | 1.00 | +0.62 | -0.10 |
| EA-B | +0.62 | 1.00 | +0.05 |
| EA-C | -0.10 | +0.05 | 1.00 |
上の数値は考え方を示すための例であり、EAFCの合否基準ではありません。
重要なのはPortfolio平均だけではなく、「EA-AとEA-Bだけが強く似ていないか」のようなPair単位の偏りも見ることです。
同じSymbolでも高相関とは限らない
同じXAUUSDを取引するEAでも、Strategy、Trading Session、Holding Time、Entry Triggerが異なれば、損益発生Timingが異なる場合があります。
| EA | 例 | 確認する差 |
|---|---|---|
| EA-A | Trend Following | Trend継続局面 |
| EA-B | Mean Reversion | 反転局面 |
| EA-C | Session Scalping | 特定時間帯 |
したがって「同じSymbolだから同じRisk」と断定せず、実際の損益系列とPosition Timingを確認します。
違うSymbolでも共通Exposureがある
反対に、Symbol名が異なっていても共通Riskを持つ場合があります。
例えば複数のUSD Crossを同じ方向へ取引している場合、異なる通貨PairでもUSD変動という共通Factorへ同時に反応する可能性があります。
| 見た目 | 確認したい共通Risk |
|---|---|
| 異なるFX Pair | 同一Currency Exposure |
| GoldとSilver | Precious Metalsの共通要因 |
| 複数Index | Risk-on / Risk-off局面 |
| 異なるSymbolのTrend EA | 同じTrend発生局面への依存 |
Strategy Typeの重複を見る
PortfolioではSymbol Diversityだけでなく、Strategy Diversityも分けて確認します。
異なるSymbolを使っていても、すべてTrend Following、すべてBreakout、すべてNanpin / Gridという構成では、同じMarket Regimeで一斉に成績が変化する可能性があります。
Trend FollowingとBreakoutの特性は、トレンドフォロー・ブレイクアウトEAの記事で確認できます。
Trading Session・時間帯の重複を見る
EAの取引時間もPortfolio Exposureの一部です。
| 確認項目 | 見る内容 |
|---|---|
| Entry Hour | 注文が発生しやすい時間帯 |
| Holding Time | Positionを保持している時間 |
| Weekday | 特定曜日への偏り |
| Session | Asia / London / New Yorkなどの重複 |
| Rollover周辺 | SpreadやSwap条件の共通影響 |
EAごとのStrategyが異なっていても、全EAが同じ短時間へ集中してPositionを持つ場合は、その時間帯のMarket ShockやExecution条件を同時に受けます。
Full-period Correlationだけで判断しない
全期間を1つのCorrelation値へまとめると、期間ごとの変化を平均化してしまいます。
例えば通常時はほとんど連動していなくても、High Volatility時だけ複数EAが同じ方向へ損失になるケースがあります。
| 期間 | 確認例 |
|---|---|
| 全期間 | 長期的な平均Correlation |
| Trend期間 | Trend Regimeでの関係 |
| Range期間 | Range Regimeでの関係 |
| High Volatility | 急変時にRiskが集中しないか |
| 直近期間 | 現在の関係が過去と変わっていないか |
Rolling Correlationとは
Rolling Correlationは、一定長のWindowを時間方向へ移動させながらCorrelationを計算する方法です。
これにより「全期間では低相関だが、特定期間だけ急に高くなる」といった変化を確認できます。
| 確認 | 役割 |
|---|---|
| Full-period | 全期間の平均的な関係 |
| Rolling Window | Correlationの時間変化 |
| Stress Period | 急変時だけ関係が強まらないか |
Windowの長さによって結果は変化するため、特定のWindow数値を万能基準とはしません。
Combined Equity Curveを作る
複数EAをPortfolioとして確認する時は、まず「確定損益から作るBalance」と「Floating P&Lを含むEquity」を区別します。
各EAのDaily P&Lが決済済みTradeのNet P&Lだけを表している場合、その累積から作れるのは原則としてSynthetic Portfolio Balanceです。未決済PositionのFloating Profit / Lossを含まないため、それだけをPortfolio Equityとして扱うと同時含み損を見落とす可能性があります。
確定損益を使った概念式は、次のように整理できます。
Synthetic Portfolio Balance(t) = Initial Capital + Σ Cumulative Closed Net P&Li(t)
同じ評価時刻における各EAのFloating P&Lまで取得できる場合は、概念的には次のようにEquity側も確認できます。
Synthetic Portfolio Equity(t) = Synthetic Portfolio Balance(t) + Σ Floating P&Li(t)
この比較では、Initial Capitalまたは資金配分、Account Currency、Commission・SwapなどのCost、入出金の扱い、Timezone、評価時刻を揃えておく必要があります。各Backtestが異なるInitial Depositで作成されている場合は、各EAのEquity値をそのまま足すのではなく、基準資金からの変化量やReturnへ変換してから比較します。
| 作る系列 | 主な入力 | 確認できること |
|---|---|---|
| Synthetic Portfolio Balance | 各EAのClosed Net P&L | 確定損益を合成した資産推移 |
| Synthetic Portfolio Equity | Balance+同一時刻のFloating P&L | 未決済損益を含む資産推移 |
| Portfolio Drawdown | 合成したBalanceまたはEquity系列 | Portfolio全体のPeakからの低下 |
ただし、別々に実施した単体Backtestの結果を後から合成したCurveは、あくまでSynthetic Portfolioです。同一口座で複数EAを同時稼働した時の共有証拠金、Balance連動Lot、Netting / Hedging、同一SymbolのPosition干渉、発注競合、Execution差などまで自動的に再現するものではありません。
そのため、合成結果は「複数EAの損益やDrawdownが時間的にどの程度重なるか」を確認する分析として使い、実際の同時運用Environmentを完全に再現した結果とは分けて扱います。
個別Maximum DrawdownとPortfolio Drawdownは別物
EA AのMax DD、EA BのMax DD、EA CのMax DDが分かっていても、それらを単純に足した値がPortfolio Max DDになるわけではありません。
それぞれの最大下落が別の時期に発生していれば、Portfolioでは一部が相殺される可能性があります。反対に、複数EAの損失期間が同時期へ重なれば、Portfolio Equityも大きく低下する可能性があります。
Drawdown自体の定義や確認項目は、ドローダウンとは|EAバックテスト・運用中に確認する資金の落ち込みで整理しています。
Simultaneous Drawdownを見る
複数EAのRisk Concentrationを確認する時は、「それぞれ何%下がったか」だけでなく、「いつ下がったか」を見ます。
| 状態 | Portfolioでの意味 |
|---|---|
| EA-A DDが1月 | DD時期が分かれている |
| EA-B DDが4月 | |
| EA-C DDが8月 | |
| 複数EAが3月にDD | 同時Drawdownの可能性を確認する |
Drawdown期間が重なるEA Pairを抽出すると、Correlationだけでは見えにくい損失局面の共通性を確認できます。
Drawdown Overlapを見る
Drawdown Overlapは、複数EAがそれぞれのEquity Peakより下にある期間がどの程度重なっているかを見る考え方です。
例えばCorrelationが全期間では低くても、EA AとEA Bが大きなDrawdownへ入る期間だけ一致している場合、Portfolio Riskとしては重要な情報になります。
| 確認方法 | 見ること |
|---|---|
| DD開始日 | Peakを割った時期 |
| DD終了日 | 以前のPeakへ回復した時期 |
| Overlap Days | 複数EAが同時にDDだった日数 |
| Worst Overlap | 大きな損失局面が同時発生したか |
Positionを同時に持つ時間も確認する
P&L Correlationだけでなく、Position Exposureが同時に存在する時間も確認します。
| Overlap | 確認例 |
|---|---|
| Symbol Overlap | 同じSymbolを複数EAが同時保有 |
| Direction Overlap | 複数EAが同時にBUYまたはSELL |
| Time Overlap | Position保有時刻が重なる |
| Event Overlap | 同じ急変局面で同時にPositionを持つ |
これは「相関は低いが、急変時には全EAがPositionを持っている」という状態を確認するうえでも役立ちます。
Actual LotでPortfolio Riskを再確認する
Strategyの類似性を確認する時はReturnを正規化して比較できますが、実際の口座Riskを確認する時はActual LotやActual P&Lへ戻して確認します。
| 分析 | 使うData |
|---|---|
| Strategy相関 | Normalized ReturnなどScaleを揃えた系列 |
| 実口座Risk | Actual Lot・Actual P&L・Actual Equity |
| 証拠金 | 同時Positionの必要証拠金 |
| Floating Risk | 実際のOpen Positionと含み損益 |
技術的なCorrelationが低くても、1つのEAだけLot Scaleが極端に大きい場合、Portfolio EquityはそのEAへ強く依存する可能性があります。
EA運用全体のRisk確認は、EA運用で知っておきたいリスク管理の基本も参照してください。
ナンピン・GridではFloating Equityを見る
Nanpin / Grid EAをPortfolioへ含める場合、Closed Tradeだけを使ったCorrelationではRiskを十分に確認できない場合があります。
未決済Positionを長く保有するStrategyでは、損失が決済されるまでClosed P&Lへ現れないためです。
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| Balance | 確定損益を確認する |
| Equity | 未決済損益を含める |
| Floating P&L | 保有中の損失集中を見る |
| Open Position Count | 同時保有本数を見る |
| Total Volume | Basket全体のExposureを見る |
| Equity DD | 含み損を含む資産低下を見る |
複数のNanpin EAが同時に含み損へ入るケースでは、Closed P&LのCorrelationが低く見えても、口座EquityではRiskが集中している可能性があります。
ScalpingではShared Execution Riskを見る
Scalping EAを複数組み合わせる場合は、Strategy Returnの相関とは別に、Execution環境の共通Riskも確認します。
| 共通要因 | 影響例 |
|---|---|
| Spread拡大 | 複数EAのEntry Costが同時上昇 |
| Slippage | 短期Strategyの約定結果へ影響 |
| Execution Delay | Entry / Exit Priceがずれる |
| Liquidity低下 | 複数注文が同時に影響を受ける |
| Server / Network | 同じMT5環境のEAへ共通影響 |
GOLD Scalping EAについては、ゴールドスキャルピングEAの確認記事でもStrategyとExecutionの特徴を整理しています。
GOLD / XAUUSD EAを複数使う場合
GOLD / XAUUSDでは、EAごとのStrategyが異なっていても、すべて同じUnderlying MarketへExposureを持つという共通点があります。
| EAタイプ | 共通して確認するRisk |
|---|---|
| Gold Trend EA | XAUUSD急変、Volatility、Spread、Symbol Specification |
| Gold Breakout EA | |
| Gold Scalping EA | |
| Gold Grid EA |
Strategy DiversityがあってもMarket Exposure Diversityがあるとは限りません。この2つは分けて確認します。
GOLD / XAUUSD EA全体のStrategy・Execution・Riskは、ゴールドEA徹底研究|GOLD/XAUUSDの戦略・検証・リスクで確認できます。
BacktestとForward・LiveでPortfolio関係が変わっていないか
Portfolio Correlationは固定値ではありません。Backtest期間では低相関だったEAが、Forwardや現在環境では似た動きをすることもあります。
| 段階 | 確認するもの |
|---|---|
| Backtest | 過去Data上のCorrelation・Combined Equity |
| OOS / Forward | 別期間でも関係が継続するか |
| Demo / Live記録 | 現在環境でのP&L・Equity・Execution |
| Recent Window | Correlation構造が変化していないか |
Forwardの確認方法は、EAフォワードテスト完全ガイドを参照してください。
EA単体の成績が以前から変化した場合は、EAの成績が悪化する理由でMarket Regime・Execution・Version差を確認できます。
Backtest結果自体のOverfittingを確認する場合は、EAの過剰最適化とは?を参照してください。
BacktestとLiveのExecution差も分けて考える
Portfolio BacktestとLive結果が異なる場合、CorrelationだけではなくExecution条件も分けて確認します。
複数EAが同じBroker・Account・VPSを利用している場合、Spread、Slippage、Server、Networkなどの変化はPortfolio全体へ共通に作用する可能性があります。
BacktestとReal環境差については、MT5でバックテストとリアル運用の違いを確認することで整理しています。
MT5 Strategy TesterのMulti-Currency Testとの違い
MetaTrader 5のStrategy Testerは、1つのEAが複数Symbolを取引するMulti-Currency EAをテストできます。EAが参照する複数SymbolのHistoryをTester側で処理する機能です。
一方、この記事で扱うPortfolio分析は、EA-A、EA-B、EA-Cのような独立した複数EAの結果を時間軸へ揃え、それらが同時に動いた場合のCombined P&LやDrawdownを確認するものです。
| 種類 | 対象 |
|---|---|
| MT5 Multi-Currency EA Test | 1つのEAが複数Symbolを扱うStrategy |
| Multi-EA Portfolio Analysis | 複数の独立EA結果を統合して評価 |
複数EA Portfolio確認チェック表
| No. | 確認項目 | 確認 |
|---|---|---|
| 1 | すべてのEAで同じ検証期間を準備した | □ |
| 2 | Date / Timezoneを揃えた | □ |
| 3 | Daily P&LまたはReturn系列を作った | □ |
| 4 | Pairwise Correlationを確認した | □ |
| 5 | Correlation Matrixを確認した | □ |
| 6 | 特定EA Pairだけ強く重複していないか確認した | □ |
| 7 | Symbol Exposureを確認した | □ |
| 8 | Strategy Typeの重複を確認した | □ |
| 9 | Trading Sessionの重複を確認した | □ |
| 10 | Combined Equity Curveを作った | □ |
| 11 | Portfolio Max DDを確認した | □ |
| 12 | Drawdown Overlapを確認した | □ |
| 13 | Position保有時間の重複を確認した | □ |
| 14 | Actual Lot・Actual P&Lでも確認した | □ |
| 15 | Nanpin / GridではFloating Equityを確認した | □ |
| 16 | 必要に応じRolling Correlationを確認した | □ |
| 17 | Forward / Liveでも関係を再確認した | □ |
このチェック表はEAの組み合わせを採点するものではありません。複数EAを同時に扱った時に、どこへRiskが集中しているかを確認するための整理用です。
よくある質問
複数EAを使えばRiskは分散されますか?
EAの本数だけでは判断できません。EA同士の損益Correlation、Symbol・Strategy・Sessionの重複、同時Drawdown、Actual Exposureを確認します。
違う通貨Pairなら分散されていますか?
必ずしもそうではありません。異なるPairでも同じCurrencyやMarket FactorへExposureを持つ場合があります。実際のReturn / P&L系列も確認します。
Correlationはいくつ以下なら良いですか?
EAFCでは全EA共通の合格Thresholdを設定しません。Sample、Trade Frequency、Holding Time、Market Regime、Actual Exposure、Drawdownなどと合わせて確認します。
相関が0ならRiskは重なっていませんか?
そうとは限りません。Pearson Correlationは線形関係を見る指標なので、急変時だけ同時損失になる関係などを十分表さない場合があります。Drawdown OverlapやPosition Overlapも確認します。
同じXAUUSD EAを複数使うのはすべて同じRiskですか?
同じMarket Exposureを持つ点は共通しますが、StrategyやEntry Timingが異なればP&L Correlationが異なる場合があります。同じSymbolという理由だけでCorrelationを決めつけず、実データで確認します。
個別EAのMax DDを足せばPortfolio DDになりますか?
通常は単純加算ではありません。各EAのDrawdownが発生した時期やP&Lを同じ時間軸へ揃え、Combined Equity CurveからPortfolio Drawdownを確認します。
Nanpin EAのCorrelationはClosed Tradeだけでよいですか?
Closed P&Lだけでは同時Floating Lossを見落とす場合があります。Equity、Floating P&L、Open Position Count、Total Volumeも確認します。
Backtestで低相関なら今後も低相関ですか?
固定ではありません。Market RegimeやStrategy特性によってCorrelation構造は時間とともに変化する場合があります。Forward、Recent Data、Rolling Correlationなどで再確認します。
関連ページ
| 確認したい内容 | 関連ページ |
|---|---|
| 複数EAの設定・Magic・Lotを確認する | MT5で複数EAを同じ口座で使う前に確認すること |
| EA運用Risk全般を確認する | EA運用で知っておきたいリスク管理の基本 |
| Drawdownの基本を確認する | ドローダウンとは |
| Backtest Reportを読む | EAのバックテストレポートとは |
| Forward実績を確認する | EAフォワードテスト完全ガイド |
| EA単体の成績悪化を診断する | EAの成績が悪化する理由 |
| Overfittingを確認する | EAの過剰最適化とは? |
| BacktestとReal環境差を見る | MT5でバックテストとリアル運用の違いを確認すること |
| Trend / Breakout EAを確認する | トレンドフォロー・ブレイクアウトEA |
| Gold Scalping EAを確認する | ゴールドスキャルピングEA |
| GOLD EA全体を確認する | ゴールドEA徹底研究 |
参考にした技術資料・公式情報
Multi-Currency Strategy Testing、複数EAのCorrelation Matrix、Daily P&L分析、Pearson Correlationについて、MetaTrader 5、MQL5および統計資料を参照しています。
- MetaTrader 5 ヘルプ:ストラテジーテスト
- MQL5:Building a Correlation-Aware Multi-EA Portfolio Scorer in MQL5
- MQL5 CodeBase:Portfolio Scorer — Multi-EA Correlation and Coverage Analyzer
- NIST:Correlation Coefficient
MQL5の記事およびCodeBaseには独自のScoreやCorrelation Thresholdを使う実装例もありますが、この記事ではその数値をEAFC共通の合格基準として使用していません。
まとめ
複数EAを運用する時は、EAの本数だけでRisk分散を判断せず、EA同士がいつ、どのMarketへ、どの方向にExposureを持つかを確認します。
まずEAごとのP&LやReturnを共通の時間軸へ揃え、Correlation Matrixを作ります。そのうえでFull-periodだけでなく、必要に応じてRolling Correlation、Symbol・Strategy・Trading Sessionの重複も確認します。
さらに重要なのがCombined Equity Curveです。個別EAのMaximum Drawdownだけではなく、Portfolio全体のEquityを作り、Simultaneous DrawdownやDrawdown Overlapが発生していないかを確認します。
Nanpin / Grid EAではClosed P&LだけでなくFloating Equity、Open Position Count、Total Volumeも確認します。Scalping EAではSpread・Slippage・Execution DelayなどのShared Execution Riskも別に確認します。
CorrelationはPortfolio検証の一部であり、それだけでEAの組み合わせを判定するものではありません。相関・時間的重複・Drawdown・Actual Exposure・Forward / Liveの変化を組み合わせて、複数EA全体のRisk構造を確認することが重要です。
お問い合わせはEAFC公式LINEへ
EAFCサイト内の記事、商品、導入前確認、設定確認、ログ確認、開発依頼前のご相談など、各種お問い合わせはEAFC公式LINEより受け付けています。
※投資助言、売買指示、利益保証、推奨ロット、推奨銘柄の案内は行っておりません。
口座番号、認証情報、Webhook URL、GAS URL、APIキーなどの機密情報は送信しないでください。
