既存EA・インジケータ改修を依頼する前に整理すること
既存のEAやインジケータを改修したい場合、最初に重要になるのは「何を直したいか」だけではありません。
実際には、現在のファイル、発生している症状、ログ、使っている環境、希望する変更内容が整理されているほど、調査・見積もり・改修方針の判断が進めやすくなります。
この記事では、MT4/MT5のEA・インジケータ改修を依頼する前に整理しておきたい内容をまとめます。
この記事で扱う内容
- 改修相談前に用意したいファイル
- 不具合やエラーの伝え方
- 希望仕様を整理する時のポイント
- ログやスクリーンショットの確認項目
- 改修できない、または確認が必要になりやすいケース
既存EA・インジケータ改修で最初に確認したいこと
EAやインジケータの改修では、まず現在の状態を確認する必要があります。
たとえば、次のような相談でも、必要な情報が不足していると、すぐに改修方針を決められない場合があります。
- エントリー条件を追加したい
- 通知機能を追加したい
- パネル表示を変更したい
- アラートの条件を変えたい
- コンパイルエラーを直したい
- バックテストとリアル運用の挙動差を確認したい
- MT4版をMT5版へ移行したい
改修内容が小さく見えても、内部の作りによっては、表示・判定・発注・決済・通知・外部連携など、複数箇所に影響することがあります。
そのため、依頼前には「今どうなっているか」と「何をどう変えたいか」を分けて整理することが大切です。
1. まず用意したいファイル
改修相談では、可能な範囲で次のファイルを整理しておくと確認が進めやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ソースファイル | .mq4、.mq5、必要な.mqhファイル |
| 設定ファイル | 現在使用している.setファイル |
| コンパイル結果 | MetaEditor上のエラー・警告内容 |
| ログ | Expertsログ、Journalログ、必要に応じてStrategy Testerログ |
| 画面画像 | チャート表示、パネル表示、エラー表示、Inputs設定画面など |
| 説明メモ | 現在の動き、困っている点、希望する変更内容 |
特に、ソースファイルがない場合は、改修できる範囲が大きく制限されます。
.ex4や.ex5だけでは、内部ロジックを確認して改修することは基本的にできません。既存EAやインジケータの改修を相談する場合は、可能であれば.mq4または.mq5の有無を先に確認してください。
2. 不具合相談では「症状」と「再現条件」を分ける
不具合や動作不良を相談する場合は、症状だけでなく、再現条件も重要です。
たとえば、次のように整理すると確認しやすくなります。
| 整理項目 | 記載例 |
|---|---|
| 発生している症状 | EAをチャートに入れてもエントリーしない |
| 発生タイミング | 起動直後、時間足変更後、バックテスト中、通知送信時など |
| 銘柄・時間足 | GOLD M15、USDJPY M5など |
| 口座環境 | デモ口座、リアル口座、セント口座、VPS環境など |
| 再現性 | 毎回発生する、特定条件だけで発生する、長時間放置後に発生するなど |
| 直前に変更した内容 | Inputs変更、set差し替え、MT5更新、VPS移行など |
「動かない」「通知が来ない」「表示がおかしい」だけでは、原因がEA側なのか、MT5設定なのか、外部連携なのか、口座環境なのかを切り分けにくくなります。
問い合わせ前のログ確認については、次の記事も参考になります。
3. コンパイルエラーは全文をそのまま残す
既存EAやインジケータの改修では、コンパイルエラーの内容が重要な手がかりになります。
エラーが出ている場合は、MetaEditorのエラー一覧から、次の情報をそのまま残してください。
- エラーメッセージ
- ファイル名
- 行番号
- 列番号
- 警告がある場合は警告内容
一部だけを省略すると、原因の判断が難しくなることがあります。
特に、文字コード、includeファイル不足、関数名の不一致、MT4/MT5の仕様差、古い書き方の残存などは、エラーメッセージ全体を見ないと判断しにくい場合があります。
4. 希望する改修内容は「目的」と「動作仕様」に分ける
改修依頼では、「こうしたい」という目的と、「具体的にどう動かすか」という仕様を分けて整理すると、認識違いを減らせます。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 目的 | Discordへ通知を送りたい |
| 動作仕様 | エントリー時、決済時、エラー発生時に通知する |
| 目的 | エントリー条件を増やしたい |
| 動作仕様 | 既存条件にRSI条件を追加し、BUY/SELLで閾値を分ける |
| 目的 | パネルを見やすくしたい |
| 動作仕様 | ロット、稼働状態、最終エラー、通知状態を左上に表示する |
目的だけでは実装内容が広すぎる場合があります。反対に、細かい仕様だけを先に決めると、現在の構造に合わないこともあります。
まずは「何のために変えたいのか」を整理し、そのうえで、必要な動作仕様を決める流れが安全です。
5. EAの場合は売買に関わる範囲を明確にする
EAの改修では、表示や通知だけの変更なのか、実際の発注・決済に関わる変更なのかで確認範囲が変わります。
たとえば、次のような改修は売買動作に影響する可能性があります。
- エントリー条件の追加・変更
- ロット計算方式の変更
- ナンピン条件の変更
- 決済条件の変更
- トレーリングストップの変更
- スプレッド制限の変更
- 稼働時間制御の変更
- マジックナンバー管理の変更
このような改修では、単にコードを書き換えるだけでなく、変更前後の動作確認が必要です。
特に、複数ロジック、複数ポジション、コピーEA、ナンピンEA、外部シート連携などが含まれる場合は、どの範囲に変更を反映するのかを先に整理しておく必要があります。
6. インジケータの場合は表示と判定を分けて整理する
インジケータの改修では、表示だけを変えたいのか、サイン判定そのものを変えたいのかを分けて考えます。
- 矢印やラベルの表示位置を変えたい
- サインの色やサイズを変えたい
- アラート条件を変えたい
- 表示する時間足を制限したい
- サイン条件にフィルターを追加したい
- 過去サインの再描画を抑えたい
見た目だけの変更に見えても、内部では判定条件やバッファ、オブジェクト描画、アラート処理と関係している場合があります。
「表示変更」「通知変更」「判定変更」を分けて整理しておくと、改修後の確認項目も明確になります。
7. 外部連携がある場合は設定情報を整理する
Discord通知、Google Sheets連携、WebRequest、外部CSV、認証処理などがあるEAやインジケータでは、外部連携の設定確認も必要です。
ただし、Webhook URL、APIキー、認証トークン、口座番号などの実値は、公開場所や通常の問い合わせ文面へそのまま記載しないよう注意してください。
相談時は、実値ではなく、次のような状態情報を整理すると安全です。
- WebRequest許可URLを設定済みか
- 通知送信時にエラーが出ているか
- 外部シートを読み取れているか
- MT5のExpertsログに通信エラーが出ているか
- 直近でURLやGAS、Webhook側を変更したか
WebRequestや外部通知の確認については、関連する確認記事も参考になります。
8. 改修できない、または確認が必要になりやすいケース
以下のようなケースでは、すぐに改修できるとは限りません。
- ソースファイルがなく、
.ex4や.ex5しかない - 第三者が作成したEAやインジケータで、改修許可が不明
- 外部認証やライセンス機能が含まれている
- 複数のincludeファイルが不足している
- 元の仕様書や使い方が残っていない
- 現在の動作が仕様なのか不具合なのか判断できない
- 販売元や開発元の利用規約に抵触する可能性がある
特に、第三者が作成したEAやインジケータを改修する場合は、利用権限や改修可否の確認が必要です。
改修相談では、技術的に可能かどうかだけでなく、ファイルの権利関係や利用条件も確認対象になります。
9. 依頼前にまとめておくとよいチェックリスト
相談前には、次の項目を整理しておくと、確認がスムーズになります。
- 改修したいEAまたはインジケータの名称
- MT4用かMT5用か
- ソースファイルの有無
- includeファイルの有無
- 現在使用しているsetファイル
- 現在の動作内容
- 困っている症状
- 変更したい内容
- 発生しているエラー内容
- Expertsログ・Journalログ
- 使用している銘柄・時間足
- デモ口座・リアル口座・VPSなどの環境
- 改修後に確認したい動作
すべてを完璧に整理する必要はありませんが、分かる範囲でまとめておくことで、調査の初期段階を進めやすくなります。
10. 改修相談時の文章例
問い合わせ時は、次のように整理して書くと伝わりやすくなります。
【対象】
MT5用EAの改修相談です。
【現在の状態】
GOLD M15で使用しています。
ソースファイル mq5 と set ファイルがあります。
【困っていること】
時間足変更後にパネル表示が崩れることがあります。
Expertsログには〇〇というエラーが出ています。
【希望する改修】
パネル表示を安定させたいです。
可能であれば、起動時に現在の設定状態をログへ出すようにしたいです。
【添付できるもの】
mq5ファイル、setファイル、Expertsログ、表示崩れ時のスクリーンショットがあります。
このように、対象・現在の状態・困っていること・希望する改修・添付できるものを分けると、確認しやすくなります。
まとめ
既存EAやインジケータの改修では、希望内容だけでなく、現在のファイル構成、ログ、症状、確認環境を整理しておくことが重要です。
特に、売買動作に関わるEAの改修では、エントリー、決済、ロット、ナンピン、マジックナンバー、外部連携などの影響範囲を確認する必要があります。
改修相談を行う前に、ソースファイル、setファイル、ログ、スクリーンショット、希望仕様を整理しておくと、調査や見積もりが進めやすくなります。
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